資産形成

暴落時のインデックス投資

暴落時の人々の心理

2025年4月3日と4日の2日間でS&P500は10%以上下落して「暴落」という状況になっています。このような場合、私たちはどうすればいいのでしょうか?


現在の急落は、多くの人々がパニックになっていることに起因していると理解しておきましょう。株価は理論的にではなく、感情的に売られているのです。この感情とは、「恐怖」や「不安」です。

多くの投資家は、「これ以上損をしたくない」「今売らないとさらに下がるかもしれない」といった心理に苛まれ保有株を損切りしてしまいます。そしてその売りが連鎖し、さらに株価が下がる──まさに負のスパイラルが繰り返されている状況です。


他の人が売っているから自分も売るという同調行動もあります。「みんながやっているから」という理由だけで、合理的でない判断をしてしまいそうになります。特に日本人は、同調圧力に弱いためこの傾向が強そうです。
「わたしは売ってしまいましたが、あなたは売らないのですか?」と有名Youtuberに聞かれたら、思わず売りたくなってしまうかもしれませんか?


また、プロスペクト理論からも投げ売りは説明できます。人は「得する喜び」よりも「損する苦痛」のほうを強く感じるため、本来は持っていた方が得になる局面でも、損失に耐えられず売却してしまうということはよくあります。


さらに、今回の下落はトランプ大統領に関する要因で引き起こされたという側面があり、過去の事例が参考にならないという恐怖も加わっています。「リーマン・ショックのときもそうだった」「2000年のITバブルのときと似ている」と過去のパターンに当てはめて考えられればまだいいのですが、「今回はそれとは違う」「もっと深刻だ」と考える人も多くいます。これは英語で「This time is different syndrome(今回は違う症候群)」と呼ばれます。初めての大幅な下落に直面すると、誰しも驚き、つい感情的に売ってしまいがちです。


暴落時の対応

では、私たちはどうすべきなのでしょうか?


絶対に売らないこと

インデックス投資は、市場全体が長期的に右肩上がりで成長していくことを前提としています。売ってしまうと、その後の急騰局面を逃してしまう可能性があります。たとえば、2020年のコロナショックのときは、暴落からわずか数ヶ月でV字回復しました。そのときに市場から退場していた人たちは、回復の恩恵を受けられなかったのです。今回の回復がいつになるかは誰にもわかりませんが、急騰という稲妻が輝くその瞬間まで、市場に居続けることが大切です。チャールズ・エリス氏が書いた「敗者のゲーム」では株式市場のことを稲妻と呼んでいますね。「底を確認してから買おう」と考える人もいますが、多くの場合、それはうまくいかないことを申し添えておきます。


積立投資は継続

積立投資(ドルコスト平均法)を実践している場合、暴落時こそが大チャンスです。価格が下がっている今こそ、安く多くの口数を買えるタイミングだからです。「落ち着いてから積み立てを再開しよう」と考えるのは、まさにその安値を逃すことになります。精神的に苦しいですが、頑張って積み立てを継続していきましょう。


運用したお金はいつ使うかを考える

インデックス投資したお金はいつ使うお金なのかをもう一度考えてみましょう。

  • 老後の資金形成のためでしょうか?
  • 子どもの教育費のためでしょうか?
  • 経済的自由を目指しているのでしょうか?

これらはすべて10年以上の時間軸を前提とした投資目標のはずです。15年先に使うお金を、目先の不安で今、現金化する必要が本当にあるのか?もう一度、自分に問いかけてみましょう。



まとめ

しっかりと自分の投資方針を堅持しましょう
インデックス投資は暴落が避けられません。この経験を経て一層強靭な投資家になることを期待しています。

  • 絶対に売らない
  • 積立を止めない
  • 感情に流されず目的を思い出す
  • 長期の視点で市場に居続け稲妻を待つ